sideburnzzのブログ

転職支援会社勤務。細く長く浅く広く生きています。特技は壁にぶつかるともっときついことに挑戦しようと、トレイルランニングやウルトラマラソンの大会にエントリーすること。

クマのデザイン

先日約2年振りに、ある銀行口座のカードを再発行手続きした。丸ノ内線で深い眠りに落ちていたらおそらく終点折り返しの池袋駅無人化した車両で(起きろよ)足元に置いておいた鞄から巧妙に財布を抜き取られたのだ(と思う。)

 

その時のことを振り返ると話が長くなるが、財布は僕の懸命な捜査網をかいくぐり、結局どこからも出てこなかった。財布を失くすと一切の重要物を入れている人間にとってはその後の手続きが、とてつもなく面倒なことになる。途中であきらめそうになったくらいだ。免許証、保険証、クレジットカード、銀行カード、病院の診察券、各種ポイントカードなどあらゆるものがなくなるため、不正利用を食い止めるために急いでストップしなければならない。

 

さらに再発行手続きは難解を極める。自分を証明するものが何もないため、免許証を復活させるには住民票、クレジットカードを復活させるには免許証、というように、的確な順番でステップを踏み復活させていかないと迷走してしまう。

 

カード会社の紛失届の専用電話のオペレーターの方々は、深夜の電話にもかかわらず、応対がこなれていて、思わず財布を失くしたことで仕事を増やしてしまい、申し訳なくなる。同情されたりすると「まず混乱しているお客様に耳を傾け、同情し、落ち着いていただくところから始める」というのがマニュアルに書いてあるのではないかと疑ってしまい、その曲がった性格を反省する。

 

その際、「ちなみにお客様、カードの絵柄は憶えていらっしゃいますか?」という質問があったのだが、それまで財布を失くしたショックで狼狽・焦燥していた僕は、電話口で表情のない説明ばかりしていたが、想定していない質問に、「ク、クマのプーさんです…」と苦し紛れに答え、たった1秒くらいだが相手の沈黙を察知した時のなんとも言えない小っ恥ずかしさとばつの悪さは今でも覚えている。

 

クマのプーさんてなんだよ」

「プーさんではいけなかったのか?なぜ正式名称を答えてしまったのか」

「さん付けをする必要はあったのか?」

「昔なぜ無地のカードを選択しなかったのか、こうなることを見通せなかったのか」

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幼い頃の記憶によると、ハチミツが好物で木の上の蜂蜜の壺を落とそうと試行錯誤したり、食べ過ぎて家のドアから出られなくなったりと、子供達に人気のキャラクターだったと思うが、ほぼ「ぐりとぐら」とのストーリー性の違いを思い出せない。

 

それが気になってカードを再発行するのをためらっていたら2年が過ぎてしまったのだ、というのは嘘で、普段ほぼ使っていない口座だったので、来週行こう、来週行こう、と100回以上先延ばししているうちにあっという間に2年が経ってしまったのだ。

 

平日に休みをもらっていたので、窓口に行ったのだが、カードを失くして2年振りに全く違う店舗にふらりと姿を現した、Tシャツ短パンのおっさんは見るからに怪しい。おまけに野辺山を100km近く走ってきた代償で日焼けしまくり、顔がこけまくりの状態で筋肉痛で足取りもふらついている。実に怪しい。窓口に誘導するスタッフの方の表情にも緊張が走る。僕も運転免許証の写真で本人確認できない、というこのブログのオチになったらどうしようと緊張する。

 

窓口の順番が回ってきて、かすかに覚えている銀行時代の手続きの流れをおさらいし、印鑑も身分証明もあるし、多分大丈夫だろうと落ち着きを取り戻し、誘導されたシートに座る。応対してくれる若い女性行員の方も業務にこなれていそうだし、安心できそうだ、よかった。「ご来店ありがとうございます。よろしくお願いいたします!」明るい表情で爽やかに手続きの案内が始まった。

 

「お客様、まず停止中のお口座のカードの絵柄は何だったかお憶えですか?」