sideburnzzのブログ

転職支援会社勤務。細く長く浅く広く生きています。特技は壁にぶつかるともっときついことに挑戦しようと、トレイルランニングやウルトラマラソンの大会にエントリーすること。

ALLIANCE〜人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

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ネット決済サービスの先駆け「PayPal」を創業後、世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」を創業、現在会長を務めるリード・ホフマンらの共著。よくある成功企業の起業・成功ストーリーではなく、時流に即したこれからの個人と企業との良き信頼関係、協力関係(アライアンス)をテーマとしており、とても考えさせられる内容でした。

 

転職が当たり前となった現在、企業と従業員間の対等な「アライアンス」を築くことが、社員は自身のキャリア構築、企業は社員の就業期間から転職後にわたって価値貢献をしてくれるという相互のメリットがある。

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

 

企業や上司は優秀な社員や部下の退職や競合会社の引き抜きに戦々恐々としながら、お互いに進みたい方向性や任せたいことについて、深く対話・干渉することから目を背けてはいけない。具体的には、両者で適切な「コミットメント期間」を設定してそれに向かって進めていくという手法が効果的。

 

例えば、「貴方には、この部署を率い、サービスの売上を3年間でこの規模まで伸ばしてもらいたい。組織づくりや関係部門からの支援体制は惜しまないし、あなたが先日私に話してくれた、7年後までに個人のキャリアとして実現したいという例の目標に向けて、必ずプラスになるキャリアステップになると思う。企業も私もそれを応援していますよ。」

 

といったように、「社員はミッションを期限内に成し遂げることに専念し、企業は社員のスキル取得を支援する」ことの連続で、企業は、事業を躍進させる起業家タイプの人材を惹きつけ、自社で働き続けようと思ってもらいやすくなる。社員は限られた期間で最速で成長することができ、自社でも他社でも通用するスキルを得られるというのだ。

 

また、新たな発見だったのは、LinkedInをはじめ、業界を代表する急成長企業の多くに、「卒業生」ネットワークがあること。特にLinkedIn、テスラ、YouTube、Yelp、Yammmer、スペースXの設立者は全てPayPalの卒業生で、退職後も続く強固なネットワークが理由になっているのかもしれない。LinkedInには、今や118,000を超える企業「卒業生」グループが存在し、Fortune500企業の98%も含まれているという。

 

マッキンゼーは公式な「卒業生」ネットワーク制度をなんと1960年代から運営、今では会員数が24,000人超、ベイン・アンド・カンパニーは「ベイン・エグゼクティブ・ネットワーク」を運営し、卒業生の対応に専属社員を置いている。他の大手コンサルティングファームの多くも似た取り組みを行っている。

 

確かに企業や在籍者にとっても、OBにとっても、相互の人材採用や顧客紹介、業界内外の情報交換などメリットは大きいし、自社サービスや商品について客観的な見地から耳の痛い意見も含めてもらえるという意味でとても貴重。

 

ソーシャルメディアやテクノロジーがこれだけ浸透していると、長年会っていない旧友や元同僚、仕事上付き合いのあった方、さらには1度も会ったことのないネット上だけの知り合いまで、仕事上、同僚や直接の顧客から得る情報よりもネットワーキングによって得る情報量の方が多くなっている気も。

 

「卒業生」ネットワークというと仰々しいけれど、大学も前職も含めて、同じ時間を過ごしてきた人たちがそれぞれの場所で活躍している便りを見たり聞いたりするのは嬉しいし、10年以上従事している転職・採用支援事業も、会社の枠を超えて情報交換したりして、業界を良くしていこう、世の中を良くしていこうという機運があるのが結構気に入っています。最近つい社内にとじこもりがちなので、もっと外に出ていかなければいけないです。(中学高校の同窓会も、大学のOB会も、サークルのOB会も全然参加していません、すみません…。)