sideburnzzのブログ

転職支援会社勤務。細く長く浅く広く生きています。特技は壁にぶつかるともっときついことに挑戦しようと、トレイルランニングやウルトラマラソンの大会にエントリーすること。

野辺山って牧場があってのんびりする避暑地だと思っていた。3年前までは。

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最近では5月の行事になっている、野辺山ウルトラマラソンの話をしたいと思います。

70km以上の距離を走るロードのレースはこれまで富士五湖、飛騨高山、四万十川、大江戸小江戸(これは完走ほど遠い)、彩湖、奥武蔵と色々出場していますが、203kmの大江戸小江戸は異次元として(毎年半分くらいでリタイア)、、NAVERまとめにもあるように、野辺山が一番辛いと思います。

matome.naver.jp

mountain-ma.com

理由は、なんと言っても累積標高差2,000m超え、最高地点標高1,908mの痺れるコースを14時間制限という、心身ともに全く余裕のない工程。マインドの強さも試されるところだと思います。

 

2015年、5分前くらい完走、2016年、20分前くらい完走で歓喜してきましたが、今年は悔しくもダメでした。来年はお休みしますがまた完走狙いたいので今更ですが当時の投稿を残しておきます。

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4月の富士五湖118kmリタイアの悔しさを晴らすべく臨んだ週末の野辺山ウルトラマラソンですがもっと手強いレースでした…。過去2回はギリギリ完走でしたが今年は97km過ぎで万事休す。

朝5:20スタート。だいたいコースは把握してるけど、後半の絶望的なキツさの記憶があまりに強過ぎて、序盤の登りもえらく大変だと言うことをそびえる坂を目の前にして思い出す。

JR駅最高地点の野辺山駅を過ぎると牧場を抜けて高地を延々と登る。牛たちが朝っぱらから何事かとランナー達を見つめてくる。

そして急にトレイルに。これロードのレースじゃないの?て毎年思うけど黙々と登る。レース最高点(2000m弱?)を超えると一気に下り。ここで焦ると膝を使い果たして後半大変なことになると分かっていつつも、制限時間に一切の余裕がないことからやっぱり飛ばしてしまい、泣くことに。

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1つ目の温泉に着く頃には陽が高く昇り、エイドでは水を頭からかぶる人の行列。コース中に温泉が3つあり、ランナーは途中で入浴できるがそんな余裕、毎年全くない。いつか入浴して完走できるようになるんでしょうか…

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42km地点を超えて緩やかな降り。富士五湖の後、しばらく膝が痛かったけどテーピングの効果なのか今の所なんともないのが救い。何を思ったか緩い登りなら自分だけ駆け登ってしまうくらい。

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が、灼熱の野辺山が牙をむいたのはここから。脚の痛みはないがあまりの暑さに体力は気づかないうちにどんどん消耗。50kmあたりの美味しい蕎麦を食べられるエイドでは行列に並ぶ気力も食欲もなくなり、バケツの水をかぶるのが精一杯な状態に。やばい。

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自販機でCCレモンエナジードリンクを飲んで一瞬だけ回復するけど、食べられないし力が入らない。65kmから永久に続くかと思われる単調な登りの途中の道路脇にあった神木みたいなところの木陰で朽ち果てそうになっているところをラン友達に励ましてもらう。

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71kmの関門エイドではほぼ何も摂取できずに地面にひっくり返って休むのみ。雨が降り始めて少しだけ復活。ここからコースでの過酷さで有名な79kmの馬越峠までずっとひどい登り。自転車はもちろんできれば車で登るのもいやな勾配。僕と同じくらいのペースで走るランナー達もほぼ全員、あまりの消耗で唸りながら前に進む。

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馬越峠を過ぎでしばらく降り。なんとか走ることができるが、平坦な道になったとたんに全く走れない。何度も歩きながら88kmあたりのエイドに滑り込む(転がり込む) 。うどんの汁だけわずかに飲む。 -

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「70km過ぎてからが野辺山の本番」と言われているみたいですが、個人的には「90kmを過ぎてからが野辺山」と言えるくらい残り10kmはきつい。なんと残り3kmくらいまでずっと登り。「そこまで降らなければ良かった」とわけのわからないことが頭をめぐる。 -

「残8kmで60分」ここで最後の勝負をかけようと思い、ここ数年で効果のあった「自分でビンタして奮い立たせる」「脚も痛くないし気持ち悪くもないと自分に言い聞かせる(洗脳的な?)」「唸り声をあげる」など試したけど全部ダメ。 -

「このペースを続ければ私たちきっと完走できますよ!」と6人おそらく見ず知らずのランナー達を先導して、お互いに励ましながら走る集団に追い抜かれる。頭ではわかっていても着いていくことがどうしてもできない。

その後もなんとか完走したいと必死なランナー達にどんどん抜かれる。終盤5km地点で、1年前に沿道の草地にひっくり返って大泣きしてるランナーを、先にゴールしたランナーか応援の友人がなぐさめてる光景が甦る。当時はまだ時間に余裕があったからおそらく脚を痛めて動けなくなってしまったのだろう。野辺山は辛い思いをしてでも心から完走したいと思えるレース。

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97km過ぎでもうすぐそばのゴール会場から響くマイクアナウンスのカウントダウンとともに今年の野辺山は終了。日没して真っ暗!しばらく歩いてたらワゴン車に収容。

ゴールまで搬送される途中で、後ろにつけているマイクロバスから優先的に乗るように、暗闇の中ゴールに向かっているランナーに運転手が徐行しながら声をかけていく。「お疲れ様でしたー!必ずすぐ後から来るバスに乗ってください!」 なんとまだ30人近く僕の前を走ってた人がいて、ほとんどのランナーが「後ろのバスに乗ってください!」と聞くやいなや、また脚を引きずりながら必死に走り出していたことに心を打たれる。きっと、まだやれる、自分の脚でゴールに辿り着きたいという必死の想いがそうさせていたに違いない。

100kmコースの完走率は45%台。リタイア1000人以上という例年に増して壮絶なレースだったみたいです。そんな中、ラン仲間でも完走した人がほんとに沢山いて、本当に本当にすごいです。消耗し過ぎて職場では「走ると痩せるんですね、うらやましい」「10歳老けましたね」「目がくぼんでなぜか夏木マリを思い出しました(なぜ…)」とお褒めの言葉。

野辺山は身体能力やマネジメント力、メンタルなど総合力が問われる、難しいだけにランナーを虜にする実に素晴らしいレース。またゴールして笑えるように頑張ります。