sideburnzzのブログ

転職支援会社勤務。細く長く浅く広く生きています。特技は壁にぶつかるともっときついことに挑戦しようと、トレイルランニングやウルトラマラソンの大会にエントリーすること。

思考する営業―BCG流営業戦略

2011年に書いたブログがあまりに稚拙すぎて少し直しました。

 

競争激しい今日において、一握りのスター営業担当者に頼っていては高い営業生産性を維持することはできない。全員が一定以上水準の能力を発揮できる組織は強く、その実現のためには、日本企業の製造現場で開発されたTQM(総合品質管理)の手法を導入するのが近道だとする、営業生産性向上のための変革手法を説いているのが本著です。

 

BCG日本代表を務める杉田浩章氏による著作。出版からかなり時間が経っているのに全く色褪せない。また読もうと思います。

 

思考する営業―BCG流営業戦略

思考する営業―BCG流営業戦略

 

 

スター営業プレイヤーの自伝・ノウハウ本が多いなかにあって、本著は、営業組織変革を成功させるための秘訣や『型』づくりの際に陥りがちな落とし穴などに触れながら、科学的な目で「営業」を分析し、解を見出すという視点で具体的事例を織り交ぜながら書かれており、とても参考になる点が多かったです。

 

なかでも面白かったのは、組織改革の際に必ずぶちあたる壁である「チェンジモンスター」の存在。これは変革に絡む人間的・感情的なさまざまなファクターを総称したもので、変革の行く手を阻むのです。そのネーミング(イラストも)がまた面白い。

 

■タコツボドン
 (自分の領域へのヨソ者の関与はいやだ)
■マンテン
 (まだ結論は早い、もう少し慎重にデータを見てみないと)
■ウチムキング
 (上司に怒られないようにうまく切り抜けなくては・・・)
■カコボウレイ
 (前例がないよね、長年このやり方でやってきたし・・・)
■ノラク
 (○○だし、△△だし、□□だからうまくいかないよ)
■ミザルキカザルイワザル
 (きっとうまくいかないだろうから、とりあえず様子を見てみるか)
■カイケツゼロ
 (××が原因でできません、解決策はありません)

 

名言はされていませんでしたが、僕はこれは特定の人間そのものではなくて、誰もが心の中に潜在的に持っている「悪い虫」のようなものだととらえました。事実、僕自身も「あてはまってるな」と耳の痛いものがいくつかあります。今までのやり方を変えることは何かしらの負担が伴うわけですから、「面倒だなあ」「うまくいくのかなあ」といった気持ちに誰でもなるのはごく自然なことなのだと思います。

 

本著は、最終的にはいくら完璧な戦略を立てても障害となるモンスター(な部分)を取り払い、全員が一丸となって変革に向けてアクションする、しかもそれを徹底して継続しない限り、その成果は出ない、と断言しています。継続するコツについてもしっかり触れられています。

 

自分の中の「悪い虫」 を退治するために、週末は山に出かけます。

信越五岳110km完走記〜迫る台風。掌に枝が刺さった痛みを帳消しにした股ズレ

前回に続き、過去出場レースできつかったけどまた参加したいレースを紹介していきます。過去のSNS投稿をリライト。信越五岳トレイルランニングレース110km完走できました。豪雨の影響で途中で102kmくらいにルート変更。距離も長いが文章も長いですすみません。

 

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斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯縄の信越エリアの5つの山を結ぶコースを22時間制限で走る工程は、林道や川沿いなど走れる部分も多いが僕の脚力では余裕はなくトレイルで100km以上は初めての挑戦。去年はペーサーで参加して運営も景色も最高。(毎年申込スタートから約2分で全て満枠という人気度ぷり)

 

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台風の接近で終始ほぼ雨。中止にならないことを祈り波乱万丈のレーススタート。

第1の山の斑尾のゲレンデからのつづら折りの降りが既に泥沼状態。そこかしこでランナーたちは尻もちをつかないように両脚で踏ん張りながら前進するも全員転び、中には「もうやだ…」とうなだれながらウォータースライダーのように10mくらいコース沿いに滑り落ちて行く人も。大半の人がここで筋力も精神力も消耗。僕も尻から何度も素っ転び掌を細かい草で擦りまくる。トレイルランは年齢層が比較的高めで家族や職場などではおそらくそれなりの威厳を保ち、敬われていると思われる人たちも自然の前では「こりゃだめだ〜」「ぐうぁ」と言いながら泥まみれになっている。

 

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途中、蜂の攻撃でコースのそこかしこで毒抜きをしている光景があり、先を急ぐ。本当に黒いウェアを装着してる人が狙われたそう。怖いのでこの後60km過ぎの着替えポイントまで半袖白Tシャツ1震えながら走ることに。第2の山、妙高。雨が強くなり、一歩一歩慎重に進む。川沿いを上流に向かって延々と走るところがあり、早くも歩き始める。このままずっと走り出せなかったら完走できないな、と少し不安になる。

 

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51km地点の第1関門(4A)を1時間くらい前に通過。まだ半分。脚はまだなんとか平気だけど去年後半の登りがエグかったのを憶えているのでなるべくオーバーペースにならないようにする。

第2関門(5A)は笹ヶ峰グリーンハウス。関門時刻を30分勘違いしていたことに加え、悪天の影響で閉鎖時刻をさらに30分繰り上げるという発表があり焦る。着替えと補給を急ぎで済ませて締め切り7分前に出発し貯金ゼロ。かつ関門を突破できなかった方が大勢出たようで、急にほぼ最後尾に…。

 

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第3の山、黒姫の何かの土管?の脇を延々と登り続けるコースに前後のランナーの息が荒くなる。戸隠神社を目指す登りで日没、ライト装着。豪雨になり、暗闇から泥水が勢いよく流れてくるトレイルを登る状況に。そこでたまらずリタイアをスタッフさんに申請しているランナーも目に入る。

 

沼がどんどん増えてきてアマゾンの様相を呈してくる。行ったことないけど。膝上に達した巨大な泥の池を進んでいたら脚をとられてバランスを崩し、手をついたところに尖った根の先端。親指の付け根が深めにパックリ。真っ暗闇の中、独りで悶絶&激痛。次のエイドまで傷口を舐めながらだましだまし進む。「顔や掌に刺さったりしなかっただけ不幸中の幸いととらえよう」と自分を鼓舞するが寒いし暗いし痛い。家に帰りたい…

次のエイド(6A)で長めに休んでいるとインスタで知り合った方から「ゴールで会いましょう!」と声をかけていただき青い顔で「はい!」と痩せ我慢する。出発してしばらくしてふと傷口を見るとさっきより出血がひどい。次のエイド(8A)までまた泥々の登りで両手を使う光景を想像し、泣きそうになりながら出発したばかりのエイドに引き返し、すれ違う何人かのランナーから「?」という顔をされる。

「応援してくれてる仲間たちやラン友の方々には何て言おうかな、"怪我だし仕方ないよ"て慰められるんだろうな」と思いながら救護テントでスタッフさん?に「怪我してリタイアしたいんですけど…」と蚊の鳴くような声で伝えると、「とりあえず傷口を見せてください」と医師に引き渡され消毒、テーピングに加え、「いいものあげるよ」とビニールの手袋を差し出される。「30kmくらい走れるだろー(それでもリタイアするの?)」と背中を押してもらう。

もう一度走るチャンスをもらえた!と思い、8Aの最終エイドまで50分くらいの貯金で到着。5つ目の山の飯縄を登る工程がカットされたので完走はできそうだと少し安心。安心したのもつかの間、過去最大級の股ズレ。丸一日雨の中100kmも走ってたら仕方ないのかもですが他の人は平気なんでしょうか?

暗闇なのを良いことに最後15kmくらいはずっと短パンを引っ張りあげながら前進。脚の張りと手の傷の痛みが吹き飛ぶレベル。「あいつ漏れそうなのかな?」と疑われないように最後の力を振り絞り、手をあげながらゴールテープを切りました。今回は天狗も女の子の霊も見えませんでしたが、ゴール後にとってもらった写真が幽体離脱気味で焦りました。

 

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大勢の運営スタッフ、ボランティアの方々や応援の参加したり応援にきてくれたラン仲間に感謝です。豪雨の中、ランナーが道を間違えないように半日以上山中の暗闇で立ちっぱなしの方も大勢いらっしゃったと思います。機会をいただければまた参加したいレースです。

温泉好きの温泉から温泉への旅〜SPATRAIL Shima to Kusatsu 72km

出場した中で辛かったけど楽しかったレースベスト10には入るSPA TRAILを紹介します。

(当時の過去SNS投稿を編集)

 

2016年第14戦はSPATRAIL Shima to Kusatsu 72km。前年のレースで苦しみ抜いて制限時間16分前ゴールした記憶はどこへやら、「思い出は美化される」効果で今年も挑戦。スタートの四万温泉もゴールの草津温泉もそれぞれ日本有数の名泉。別々に温泉旅行で訪れ、ゆっくりしたいところなのに、2つの温泉を14時間もかけてハシゴしようとするとは参加ランナーたちは無類の温泉好き達に違いない。

 

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序盤15km地点くらい、気合いと高揚感から下り基調のかなりの砂利道で珍しくぶっ飛ばしていたら大きめの石に思い切りつまずき、学生時代に教習所の筆記試験に2日連続で落ちて免許取得をあきらめかけたことや、中3の頃、近所でかつあげにあって怖い思いをしたけど財布に150円しか入ってなくて気まずい雰囲気になったことや、小学生時代に、体操着と給食袋と筆箱をことごとく忘れ茫然としたことなど、どうでもよいことが走馬灯のように頭を駆け巡り、大の字にヘッドスライディング。周りのランナーたちドン引き。

 

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両手両膝をすりむきまくったけど、不幸中の幸いで前のランナーが落としていったと思われる水のボトルを発見し、半泣きで消毒。小石が傷口にビッシリ…

 

20km地点くらい。いつの間にか謎の虫が右腿に止まっているのが目に入った途端、刺されて激痛。かつて、白馬トレイルの40Km地点くらいで頭頂部を蜂に刺されて(針が抜けないので)その場で頭髪を剃るか、諦めてそっとしておくか究極の選択を迫られた記憶が蘇る。

 

30kmを超えて、野反湖に到着!景色が最高。去年はこの時点で脚がガタガタだったし、寒かったけど今年はまだ走れる。迫っているはずの対岸のエイドから運営の方のマイクの声が聴こえてくるのに全然近づかないばかりかなぜか山奥深く遠ざかっていく工程。今年はだまされません。

 

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50kmくらいで試練の700段を超える急傾斜の登り階段と天まで届くように見えるハシゴ。全員無言で登る、荒い息づかいだけが聞こえる。去年はハシゴの途中でリタイア宣言しそうになりました。運賃払うからエスカー乗りたい…。

 

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53km地点くらい。スタッフの方がはるかかなたに豆腐のように見える草津国際スキー場を指差し、「もうゴールは見えてますよ!」と勇気付けてくれるがあと4時間半で辿り着けるか暗雲が立ちこめる。

 

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60km地点くらい。去年と同様、地元の小学生の子たちが味噌田楽と豆腐を食べさせてくれる。「去年も食べさせてもらったよ、ありがとう!」と爽やかに声をかけたつもりが、過度の消耗でろれつが回らず両手両膝傷だらけの姿に、ポカンとされる。

 

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63km地点。最終エイドを超えて序盤の転倒で打った右膝がやばくなる、今までもちこたえてくれて感謝。去年より8分くらいしか速くならなかったけど充実のレースでした。運営の方々、地元の皆様、ご一緒したラン仲間の皆さんありがとうございました!また来年も挑戦します。

 

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野辺山って牧場があってのんびりする避暑地だと思っていた。3年前までは。

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最近では5月の行事になっている、野辺山ウルトラマラソンの話をしたいと思います。

70km以上の距離を走るロードのレースはこれまで富士五湖、飛騨高山、四万十川、大江戸小江戸(これは完走ほど遠い)、彩湖、奥武蔵と色々出場していますが、203kmの大江戸小江戸は異次元として(毎年半分くらいでリタイア)、、NAVERまとめにもあるように、野辺山が一番辛いと思います。

matome.naver.jp

mountain-ma.com

理由は、なんと言っても累積標高差2,000m超え、最高地点標高1,908mの痺れるコースを14時間制限という、心身ともに全く余裕のない工程。マインドの強さも試されるところだと思います。

 

2015年、5分前くらい完走、2016年、20分前くらい完走で歓喜してきましたが、今年は悔しくもダメでした。来年はお休みしますがまた完走狙いたいので今更ですが当時の投稿を残しておきます。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

4月の富士五湖118kmリタイアの悔しさを晴らすべく臨んだ週末の野辺山ウルトラマラソンですがもっと手強いレースでした…。過去2回はギリギリ完走でしたが今年は97km過ぎで万事休す。

朝5:20スタート。だいたいコースは把握してるけど、後半の絶望的なキツさの記憶があまりに強過ぎて、序盤の登りもえらく大変だと言うことをそびえる坂を目の前にして思い出す。

JR駅最高地点の野辺山駅を過ぎると牧場を抜けて高地を延々と登る。牛たちが朝っぱらから何事かとランナー達を見つめてくる。

そして急にトレイルに。これロードのレースじゃないの?て毎年思うけど黙々と登る。レース最高点(2000m弱?)を超えると一気に下り。ここで焦ると膝を使い果たして後半大変なことになると分かっていつつも、制限時間に一切の余裕がないことからやっぱり飛ばしてしまい、泣くことに。

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1つ目の温泉に着く頃には陽が高く昇り、エイドでは水を頭からかぶる人の行列。コース中に温泉が3つあり、ランナーは途中で入浴できるがそんな余裕、毎年全くない。いつか入浴して完走できるようになるんでしょうか…

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42km地点を超えて緩やかな降り。富士五湖の後、しばらく膝が痛かったけどテーピングの効果なのか今の所なんともないのが救い。何を思ったか緩い登りなら自分だけ駆け登ってしまうくらい。

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が、灼熱の野辺山が牙をむいたのはここから。脚の痛みはないがあまりの暑さに体力は気づかないうちにどんどん消耗。50kmあたりの美味しい蕎麦を食べられるエイドでは行列に並ぶ気力も食欲もなくなり、バケツの水をかぶるのが精一杯な状態に。やばい。

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自販機でCCレモンエナジードリンクを飲んで一瞬だけ回復するけど、食べられないし力が入らない。65kmから永久に続くかと思われる単調な登りの途中の道路脇にあった神木みたいなところの木陰で朽ち果てそうになっているところをラン友達に励ましてもらう。

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71kmの関門エイドではほぼ何も摂取できずに地面にひっくり返って休むのみ。雨が降り始めて少しだけ復活。ここからコースでの過酷さで有名な79kmの馬越峠までずっとひどい登り。自転車はもちろんできれば車で登るのもいやな勾配。僕と同じくらいのペースで走るランナー達もほぼ全員、あまりの消耗で唸りながら前に進む。

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馬越峠を過ぎでしばらく降り。なんとか走ることができるが、平坦な道になったとたんに全く走れない。何度も歩きながら88kmあたりのエイドに滑り込む(転がり込む) 。うどんの汁だけわずかに飲む。 -

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「70km過ぎてからが野辺山の本番」と言われているみたいですが、個人的には「90kmを過ぎてからが野辺山」と言えるくらい残り10kmはきつい。なんと残り3kmくらいまでずっと登り。「そこまで降らなければ良かった」とわけのわからないことが頭をめぐる。 -

「残8kmで60分」ここで最後の勝負をかけようと思い、ここ数年で効果のあった「自分でビンタして奮い立たせる」「脚も痛くないし気持ち悪くもないと自分に言い聞かせる(洗脳的な?)」「唸り声をあげる」など試したけど全部ダメ。 -

「このペースを続ければ私たちきっと完走できますよ!」と6人おそらく見ず知らずのランナー達を先導して、お互いに励ましながら走る集団に追い抜かれる。頭ではわかっていても着いていくことがどうしてもできない。

その後もなんとか完走したいと必死なランナー達にどんどん抜かれる。終盤5km地点で、1年前に沿道の草地にひっくり返って大泣きしてるランナーを、先にゴールしたランナーか応援の友人がなぐさめてる光景が甦る。当時はまだ時間に余裕があったからおそらく脚を痛めて動けなくなってしまったのだろう。野辺山は辛い思いをしてでも心から完走したいと思えるレース。

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97km過ぎでもうすぐそばのゴール会場から響くマイクアナウンスのカウントダウンとともに今年の野辺山は終了。日没して真っ暗!しばらく歩いてたらワゴン車に収容。

ゴールまで搬送される途中で、後ろにつけているマイクロバスから優先的に乗るように、暗闇の中ゴールに向かっているランナーに運転手が徐行しながら声をかけていく。「お疲れ様でしたー!必ずすぐ後から来るバスに乗ってください!」 なんとまだ30人近く僕の前を走ってた人がいて、ほとんどのランナーが「後ろのバスに乗ってください!」と聞くやいなや、また脚を引きずりながら必死に走り出していたことに心を打たれる。きっと、まだやれる、自分の脚でゴールに辿り着きたいという必死の想いがそうさせていたに違いない。

100kmコースの完走率は45%台。リタイア1000人以上という例年に増して壮絶なレースだったみたいです。そんな中、ラン仲間でも完走した人がほんとに沢山いて、本当に本当にすごいです。消耗し過ぎて職場では「走ると痩せるんですね、うらやましい」「10歳老けましたね」「目がくぼんでなぜか夏木マリを思い出しました(なぜ…)」とお褒めの言葉。

野辺山は身体能力やマネジメント力、メンタルなど総合力が問われる、難しいだけにランナーを虜にする実に素晴らしいレース。またゴールして笑えるように頑張ります。

パスまわしヨク!

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写真)豊島区役所庁舎(としまエコミューゼタウン;2015年)

 

日本の建築家として名高い、隈研吾さんのインタビュー記事が先日の日経日曜版に掲載されていて読み込んでしまいました。一部抜粋。

 

”東京、パリ、北京、上海に拠点を構え、国内外でおよそ300件のプロジェクトを動かす。「若い人が自由にものを言えなくなるし、全員とこまめに話せなくなるから」会議はできるだけやらない。部屋を歩き回りながら「食べ散らかす感覚」で5分程度の打ち合わせを繰り返す。立ち話で済ますことも少なくない。  (中 略)  仕事の判断は即決。「後で間違いに気づいたらどんどん訂正、方向転換すればいいんです。自分がボールを持ったままでいるのが一番ダメで、まずはパスを出してやること」と説く。”

 

”都内で建設が進む「新国立競技場」の現場でも「調整役」として、150人ほどの設計・施工の担当者が「自由に会話できる雰囲気づくり」を心掛けている。「自分の価値観を押しつけるのではなく、相手の話を聞く、時に妥協もする。違う文化の人と接することが当たり前の人間では『負ける』ことは悪いことではなく、むしろポジティブな力なんじゃないか。

 

まさに。

 

慎重に入念に予想されるリスクや、反対意見へのカウンタートークを考え唸りながら物事を進めるより、「即パス、即決、傾聴と対話。間違ったら前言撤回(ごめんなさい)・軌道修正」の考え方がいかに大事たるや。

 

この考え方が、「和」や「自然」を感じさせる独特の作風に繋がっているのでしょう。

 

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写真)南青山にあるサニーヒルズ。パイナップルケーキが美味しい。

www.sunnyhills.com.tw

隈研吾氏が新たに手がけたこの三階建ての建物は、地獄組みと呼ばれる伝統的な組木格子を熟練の職人の手で一本ずつ立体的に組み上げて作られました。店の中に入ると、森の中に迷い込んだかのように細かく交差する木組みの隙間から木漏れ日がお客様を包み込みます。光と、ヒノキの独特の香りが時とともに移ろいます。日が暮れると建物全体が灯篭のように闇の中に浮かび上がります。”(HPより)

 

 

空想都市と架空の国の紙幣

架空の街を想像しながら地図に描いてみる、架空の国やその歴史、社会背景を想像しながら、紙幣をデザインしてみる。という、物凄く繊細でクリエイティブな能力が必要とされ、とんでもなく時間もかかり難しくもあるけれど、考えただけで楽しくなりそうなことを実際にされている人がいることを最近知ったので紹介します。

 

まずは、7歳の頃から実在しない空想の地図を描き始め、著書「みんなの空想地図」の出版や、地図に関する執筆、講演、ワークショップ、アドバイザーなど広く活躍されている今和泉 隆行さん。運営サイト「空想都市へ行こう!」では地図に興味を持ったきっかけやその後の活動について詳しく説明がされていて、人口2,400万人を抱える「西京首都圏」の中核である空想都市「中村市」についても閲覧することができます。

imgcity.chirijin.com

実在する都市かと本当に思ってしまうほどのリアリティ。幼い頃にバス路線図や都市地図を眺めているのが楽しくて、自分で0から想像して描いてみよう、という好奇心がすごいです。

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※運営サイト「空想都市へ行こう!」より

 これが「中村市」の中心部です。日常の車や電車、人々が行き交う光景が目に浮かびそうです。さらにこれも全て空想のスーパー、カフェ、コンビニ、ハンバーガーショップ、牛丼チェーン店などもロゴデザインや特徴解説付きで紹介。書籍も今度手に取ってみたいです。

f:id:kiyo_0604:20171126213426j:plain※運営サイト「空想都市へ行こう!」より

僕も世界地図や国旗を落書き帳に模写するのは楽しかった記憶はありますが、今では国名も国旗もほとんど覚えていません。小学校低学年時に、実家の埼玉南部を流れる黒目川を下流まで辿って地図にし、自由研究の作品として提出しようと、友達と歩いて行って新河岸川、荒川に合流するあたりで川が蛇行しまくっていて湿地帯に突入し、おまけに日没して家に帰れなくなりかけるという苦い思い出があります。

 

そして次は紙幣。僕が生まれた頃はかろうじて、聖徳太子の1万円札、5千円札、伊藤博文の千円札、岩倉具視の500円札があったのを覚えています。今の若い人たちは「えっいつの時代のことですか?」という感じかもしれません。そういえば、2千円札ってもう何年も見ていないような。海外の紙幣も格好いいデザインのものがあって見ると楽しいです。

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BRUTUS「お金の、答え。」2017/06/01 より。

 

これなんと、全て実在しない国家で発行されている紙幣。架空紙幣作家 oloさんは会社員として働く傍ら、4歳の頃に目にした1万円札のデザインに感動して、書き写したりしているうちに、お金に見えるような要素を組み合わせて架空の紙幣をデザインするようになったそうです。(法律に触れないように、裏面を罫線の入ったメモ用紙にするなど、明らかに本物でないことが分かるように工夫しているとのこと)架空紙幣はWebでオーダーできるそうなので、オリジナル紙幣を作れちゃいます。

olos.web.fc2.com

紙幣と同じように切手もその国の歴史、政治や文化、国民性がデザインに現れているのと、見ていて綺麗なので、子供の頃集めていました。友達がビックリマンやカードダスやプラモデルやキン肉マン消しゴム?を集めて仲間で交換したり自慢し合っている中、僕は記念切手が発行されるたびに郵便局に通って1枚ずつ購入してにやにやしているような小学生時代を過ごしていました。懐かしくなったので、年末の大掃除で実家の押入れから引っ張り出してこようと思います。

 

 

ALLIANCE〜人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

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ネット決済サービスの先駆け「PayPal」を創業後、世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」を創業、現在会長を務めるリード・ホフマンらの共著。よくある成功企業の起業・成功ストーリーではなく、時流に即したこれからの個人と企業との良き信頼関係、協力関係(アライアンス)をテーマとしており、とても考えさせられる内容でした。

 

転職が当たり前となった現在、企業と従業員間の対等な「アライアンス」を築くことが、社員は自身のキャリア構築、企業は社員の就業期間から転職後にわたって価値貢献をしてくれるという相互のメリットがある。

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

 

企業や上司は優秀な社員や部下の退職や競合会社の引き抜きに戦々恐々としながら、お互いに進みたい方向性や任せたいことについて、深く対話・干渉することから目を背けてはいけない。具体的には、両者で適切な「コミットメント期間」を設定してそれに向かって進めていくという手法が効果的。

 

例えば、「貴方には、この部署を率い、サービスの売上を3年間でこの規模まで伸ばしてもらいたい。組織づくりや関係部門からの支援体制は惜しまないし、あなたが先日私に話してくれた、7年後までに個人のキャリアとして実現したいという例の目標に向けて、必ずプラスになるキャリアステップになると思う。企業も私もそれを応援していますよ。」

 

といったように、「社員はミッションを期限内に成し遂げることに専念し、企業は社員のスキル取得を支援する」ことの連続で、企業は、事業を躍進させる起業家タイプの人材を惹きつけ、自社で働き続けようと思ってもらいやすくなる。社員は限られた期間で最速で成長することができ、自社でも他社でも通用するスキルを得られるというのだ。

 

また、新たな発見だったのは、LinkedInをはじめ、業界を代表する急成長企業の多くに、「卒業生」ネットワークがあること。特にLinkedIn、テスラ、YouTube、Yelp、Yammmer、スペースXの設立者は全てPayPalの卒業生で、退職後も続く強固なネットワークが理由になっているのかもしれない。LinkedInには、今や118,000を超える企業「卒業生」グループが存在し、Fortune500企業の98%も含まれているという。

 

マッキンゼーは公式な「卒業生」ネットワーク制度をなんと1960年代から運営、今では会員数が24,000人超、ベイン・アンド・カンパニーは「ベイン・エグゼクティブ・ネットワーク」を運営し、卒業生の対応に専属社員を置いている。他の大手コンサルティングファームの多くも似た取り組みを行っている。

 

確かに企業や在籍者にとっても、OBにとっても、相互の人材採用や顧客紹介、業界内外の情報交換などメリットは大きいし、自社サービスや商品について客観的な見地から耳の痛い意見も含めてもらえるという意味でとても貴重。

 

ソーシャルメディアやテクノロジーがこれだけ浸透していると、長年会っていない旧友や元同僚、仕事上付き合いのあった方、さらには1度も会ったことのないネット上だけの知り合いまで、仕事上、同僚や直接の顧客から得る情報よりもネットワーキングによって得る情報量の方が多くなっている気も。

 

「卒業生」ネットワークというと仰々しいけれど、大学も前職も含めて、同じ時間を過ごしてきた人たちがそれぞれの場所で活躍している便りを見たり聞いたりするのは嬉しいし、10年以上従事している転職・採用支援事業も、会社の枠を超えて情報交換したりして、業界を良くしていこう、世の中を良くしていこうという機運があるのが結構気に入っています。最近つい社内にとじこもりがちなので、もっと外に出ていかなければいけないです。(中学高校の同窓会も、大学のOB会も、サークルのOB会も全然参加していません、すみません…。)