思考する営業―BCG流営業戦略
2011年に書いたブログがあまりに稚拙すぎて少し直しました。
競争激しい今日において、一握りのスター営業担当者に頼っていては高い営業生産性を維持することはできない。全員が一定以上水準の能力を発揮できる組織は強く、その実現のためには、日本企業の製造現場で開発されたTQM(総合品質管理)の手法を導入するのが近道だとする、営業生産性向上のための変革手法を説いているのが本著です。
BCG日本代表を務める杉田浩章氏による著作。出版からかなり時間が経っているのに全く色褪せない。また読もうと思います。
スター営業プレイヤーの自伝・ノウハウ本が多いなかにあって、本著は、営業組織変革を成功させるための秘訣や『型』づくりの際に陥りがちな落とし穴などに触れながら、科学的な目で「営業」を分析し、解を見出すという視点で具体的事例を織り交ぜながら書かれており、とても参考になる点が多かったです。
なかでも面白かったのは、組織改革の際に必ずぶちあたる壁である「チェンジモンスター」の存在。これは変革に絡む人間的・感情的なさまざまなファクターを総称したもので、変革の行く手を阻むのです。そのネーミング(イラストも)がまた面白い。
■タコツボドン
(自分の領域へのヨソ者の関与はいやだ)
■マンテン
(まだ結論は早い、もう少し慎重にデータを見てみないと)
■ウチムキング
(上司に怒られないようにうまく切り抜けなくては・・・)
■カコボウレイ
(前例がないよね、長年このやり方でやってきたし・・・)
■ノラクラ
(○○だし、△△だし、□□だからうまくいかないよ)
■ミザルキカザルイワザル
(きっとうまくいかないだろうから、とりあえず様子を見てみるか)
■カイケツゼロ
(××が原因でできません、解決策はありません)
名言はされていませんでしたが、僕はこれは特定の人間そのものではなくて、誰もが心の中に潜在的に持っている「悪い虫」のようなものだととらえました。事実、僕自身も「あてはまってるな」と耳の痛いものがいくつかあります。今までのやり方を変えることは何かしらの負担が伴うわけですから、「面倒だなあ」「うまくいくのかなあ」といった気持ちに誰でもなるのはごく自然なことなのだと思います。
本著は、最終的にはいくら完璧な戦略を立てても障害となるモンスター(な部分)を取り払い、全員が一丸となって変革に向けてアクションする、しかもそれを徹底して継続しない限り、その成果は出ない、と断言しています。継続するコツについてもしっかり触れられています。
自分の中の「悪い虫」 を退治するために、週末は山に出かけます。