『コーチKのバスケットボール勝利哲学』
マイケル・ジョーダンやレブロン・ジェームズなどの超一流プレイヤーから絶大な 信頼を集める名コーチ、マイク・シャシェフスキー。デューク大学でNCAAチャンピオン4回、北京五輪、トルコ世界選手権での金メダル獲得など数々の偉業 を達成するために大切にしてきた成功と勝利への哲学が40のキーワードに凝縮されている本です。(6年前に読んで書いた投稿。また読みたくなってきました)
- 作者: マイクシャシェフスキー,ジェイミー・K.スパトラ,島本和彦,Mike Krzyzewski,Jamie K. Spatola,佐良土茂樹
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 単行本
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バスケットボールに限らず、チームスポーツ全般、ビジネスにも通じるところが大きく、色々な発見がありましたが、そのうちの「集団責任」というテーマについて採りあげたいと思います。
【集団責任】
「あの大切な場面でミスショットした彼のプレイが敗因だ」
「彼のパフォーマンスは試合を通じて精彩を欠いていた」
「相手に散々カットインを許した彼のディフェンスが穴だった」
ゲームに負けるとほとんどの場合、口には誰も出さないものの、どこからともなく責任の所在に思いがめぐったり、結果を出せなかった本人は、負けがあたかも全て自分の責任であるかのように悲観的にとらえがちですが、これは大きな間違いだと、コーチKは言います。
得点盤には個人ではなく「チーム名」だけが記されているように、その試合のどの瞬間においても責任はチーム全体にあります。誰かが上手くやっている時には、僕たちみんなが上手くやっていて、誰かがミスをしてしまった時には、僕たちみんながミスをしているのだと。
特にバスケの試合は最後までもつれることが多いため、残り数秒、ワンプレイで得点が決まるかどうかで勝敗が決しているかのように見えがちですが、その最後のボールの持ち主とその人間をマークしているディフェンスが勝敗の全責任を負っ ているのだとしたら、どんなに息詰まるものなのでしょうか。「ボールなんて飛んでくるな!」と思わず叫びたくなってしまうことでしょう。
実際には、その最後のワンプレイに至るまでの長い長い時間の中でのチームメンバー全員の動きが勝敗を決めていて、最後のシュートがどうだったか、はその断片にすぎません。(こう考えると肩の力が抜けますね)
さて、仕事ではどうでしょうか。
重なる点、結構ある気がします。
もちろん就いている職種や組織構成、企業文化などによっても違うでしょうし、 個々人が期待されている成果(数字)の積み上げや、「Aさんにしかできない」といった、専門領域でのパフォーマンスの融合でチームや組織全体の成果、勝ち 負けが左右するので、いちがいに「集団責任」とは言い切れない部分はあります。
ただ、スポーツと一緒で、プロでさえ時期によって調子の良い(結果が出る)選手、悪い(結果が出ない)選手がいるように、チームで仕事をしているわけですから、お互いに協力し合い、調子の良い人間がそうでない人間をアドバイスしたりフォローすることがとても大切なんだと強く感じます。(その点、安定的に結果を出せる選手はそれだけで信頼を得ることができますね。)
もちろんチームや部門間での相互補完体制もそうです。好調なチームが不調なチームの売上の穴を埋め、勢いのある部門がそうでない部門の穴を埋める。強いチームや組織に共通しているところだと思います。
ラスト数秒になって「ああ、こんなことになるなら彼を起用しておくべきだった」と天を仰いでもあとの祭り。
月間の、四半期の、年間の「ラスト数秒」がすぐそこまで近づいてきた時に真価が問われますが、大逆転は不可能。バスケやってる人ならわかると思いますが、ハーフラインそばからの滅茶苦茶なフォームでの苦しげなシュートが入る光景は滅多に見ることはできません。